コント「泥棒と被害者」
筆者が初めて書き下ろしたコントです。
コント「泥棒と被害者」
甲・・・泥棒、ツッコミ
乙・・・被害者、ボケ、案の定頭がおかしい。
明転
舞台は食堂(学食的なイメージ)
乙が財布をテーブルの上に置いて席を立ったのを見計らって甲が財布を盗むとそれとほぼ同時に乙が帰って来る。
それを見た甲は焦りながら立ち去ろうとする。
乙「あれ?財布がない!」
と言ってキョロキョロする。そして甲の姿を見かける。
乙「ちょっとそこの人—!そのいかにも怪しそうな人—!」
乙は甲の方を見て叫ぶ。
甲はぎょっとしてそそくさと立ち去ろうとする。
乙「ちょっとー!そのいかにも僕の財布を盗んで急いで逃げようとしているみたいな人—?」さらに大きな声で叫ぶ。
甲は周りの視線が気になったようで走って戻って来る。
甲「ちょっとちょっとうるさい!しーっしーっ」すごく焦っている様子。
乙「あなた僕の財布とったでしょ?」
甲「ちょっと待ってよ私はただたまたまここを通りかかっただけだって。」
乙「じゃあ僕の財布のことは知らないの?」
甲「知らないよ。誰かに盗まれたんじゃないの?」
乙「(ちょっと考えて)そっか。疑ってごめん。」
甲「気の毒だけど、私には何もできないからさ。まあ犯人探し頑張って。」
甲は立ち去ろうとする。
乙「あっ待って。疑っちゃって悪かったからさ。お昼ご飯ご馳走するよ。」
甲「えっいいよ。そんな気にしてないから。」
乙「いいよいいよ。だって恥かいたでしょ。僕が大声で叫んだからみんなに泥棒だって疑われて恥かいたでしょ?」
甲「いやかいたけどさ。」
乙「まだ昼ごはん食べてないよね?(食い気味に)」
甲「食べたよ。」
乙「食べてないよ?(真顔で)」
甲「なんでわかるんだよ?」
乙「だって僕君のこと食堂に入ってきた時からずっと見てたもん。」
甲「えっ怖い怖い怖い怖い。」
乙「食べてないよね?」
甲「・・・・食べてないよ。食べてないけどお前とは食わねえよ!怖いもん!」
乙「まあ見てたってのは嘘なんだけど。」
甲「なんだよさっきから!わけわかんねえんだよ!」
乙「奢られてくれるよね?だって昼ごはん食べにきたんだもんね?財布盗みに来たわけじゃないもんね?(食い気味に)」
甲「いや、そうだけど・・・・あっ、だいたいお前財布持ってないんだろ?どうやって俺に奢るんだよ?」
乙「僕普段からよく財布盗まれるから、盗まれてもいいように財布たくさん持ち歩いてるんだ!」
体の至る所から大量の財布を取り出す。
甲「怖?どこに入ってたんだよそんな数の財布???」
乙「ちなみにさっき出して置いたのはダミーだからお金は入ってないんだ。」
甲「まじかよ?」
思わず財布を取り出して中身を確認する甲。
乙「あっそれ僕の財布。」
甲「あっ。」
少し間があって。
甲「あーあーもう悪かったよ俺が盗んだんだって!ほらちゃんとこれは返すし。(乙の手に持たせる)ちゃんとこの後警察行くからさ!もう解放してくれよ!お前みたいなやばいやつの相手するくらいだったら逮捕された方がマシだよ!」
乙「うん。じゃあ一緒に昼ごはん食べようか。」
甲「は?お前話聞いてた?いやいややばいやばいやばいこいつ絶対頭おかしい。」
甲が走り去ろうとすると乙は腕をぐっと掴みニヤリと笑う。
乙「僕はいつも財布を置きっぱなしにして誰かに盗まれるのを待っているんだ。」
甲「わああああ(叫ぶ)」
乙「自分が盗んだのを必死に隠そうと四苦八苦しながら僕と食事をする人の姿を見るのが大好きだからね。」
暗転
頭がおかしい人を書こうと思ったら、予想以上にホラーになったため今後上映されることはないでしょう。